国際会議の業務(1)

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JNTOコンベンションニュース Vol 34 (2012年12月)掲載分

 

新連載:「国際会議を成功へと導くサービスと業務」(3回シリーズ)

これから3回にわたり国際会議主催者の視線で、成功する国際会議とは何かについて、実例をあげながら紹介します。なによりも国際会議の成功とは、参加者の満足度を最大限まで高めることです。これは、必ずしも会議のディナーだけを豪華にすれば良いという訳ではありません。あるいは、主催者が多くの出費を強いられることも、結果的に成功とは言えません。

この特集では、国際会議を成功させる視点で、(1)計画と広報編、(2)準備編、(3)開催と終了編の3編にわたり説明します。ただし、ここで述べることは、必ずしもすべての会議に当てはまるとは限りません。会議のポリシー、開催地、規模、参加者層などに応じてアレンジしていただければ、より良い会議となると思います。

 

〜その1:計画と広報編〜

国際会議の計画

さて、多くの国際会議は、国際学会に対して誘致のためのプロポーザル提出やプレゼンから始まります。独立系会議はそのプロセスはありません。ただし、前者および後者に共通していえることは、会議開催の可能性が1%でもあれば、あらかじめ開催の可能性のある地域を選定しておくことです。また、この際にJNTOや各地のコンベンションビューロー等に連絡をとります。これにより、地域が持つホテルの客室数や、施設等の写真を含む情報を得ることができます。会議の誘致や広報のためのプロポーザル作成やプレゼンにおいては、これらの情報を含めることで、国際学会が開催地を選定する際に競合となる都市に勝てるチャンスが高まります。さらに、国際会議のウェブサイトを作成する際に、ホテル情報やローカル情報のページがより効率的に作成可能となります。これだけではありません。早いうちに地域とコンタクトをとっておくことで、地域からの会議支援を受けられる機会も得られます。

一般に、国際会議の参加者数や予算は、論文投稿や申し込みが終わらないと知ることができないと言われます。しかし、早いうちに見込み数や予算を決めておくことが、後々の会議の成功と関係があります。会議には多くの支出があります。その主たるものとして、会場借費、施設備品費、予稿集等印刷費、来賓等旅費宿泊費、コーヒーブレーク費、レセプション費、バンケット費、会議グッズ(お土産含)、各種外注費(PCO費含*)、有償ボランティアの人件費などがあります。これらについて、あれもこれも必要と積み上げていけば支出は膨大になります。例えば、「もし何かあった場合のために、会議室を多めに借りよう」とすると多くの場合は無駄になります。本当にこれが必要かという考えを持ち、計画を立てて、実際に節約できたら、バンケット時に豪華にしようと考えておいたほうが望ましいです。なお、会議開催助成等で予備費を予算に計上しておくと、助成金減額の対象となることがありますので注意が必要です。
(*PCOとは会議支援専門業者のことであり、会議の性質や規模によっては依頼する主催者もいる。)

国際会議の広報

さて、会議の広報においては、3つの視点で広報を行っていくことが肝要です。一つ目は(A)論文投稿者や参加者向け(いわゆるCFP)、二つ目は(B)行政やスポンサー向け、三つ目は(C)市民向けです。(A)については、会議の意義(ミッションステートメント)をはっきりさせて、会議で発表することがどのような貢献となるのか明確にします。論文募集の段階から会議の質をあげることを意識することで、より参加者を集めることができます。(B)については、この会議が地域やスポンサーにとってどのような利益があるのかを明確にします。(C)については、地域での国際会議の開催について各種メディアを通じて広報します。例えば、コストのかからない形式でもいいので、市民向けセミナーを開催する計画を立てれば、その地域の広報誌などでの紹介を得やすくなります。

研究者向けの広報として、近年、多くのアカデミックスパム(会議開催案内をメールにより不特定多数に繰り返し送信)が見受けられますが、受信者からいったんそのように認識されれば、その後一切効果はありません。そこで、不特定多数に案内を出す際は、1度だけ、多くとも2度までが望ましいです。また、写真のように、英語と他の言語を混合させて記述させると、印象が極めて悪くなります。さらに、ユーザが指定していなくとも自動でスパムフィルタに引っかかる可能性が高くなります。そもそも会議の質を上げるためには、できるだけ早く基調講演者を決めておき、またできれば20カ国程度から会議広報委員を決めて、その会議広報委員により参加を呼びかけていく方が、メールでの広報より効果がある場合が多いです。

スペースの制限上、すべてを述べられませんが、次回は会議誘致および論文募集後の会議準備について取り上げます。

まとめ

  1. 会議開催の可能性があれば、JNTOや地域のコンベンションビューローに連絡をし、必要な情報を得る。
  2. 支出計画は、本当にこれが必要なのかという観点で計画を立てていく。
  3. 広報活動を怠らない。ウェブページを作ったからといって、みんなが見てくれる訳ではない。
  4. メールでの広報に頼らない。国際会議という観点を常に持ち、国内研究者の連絡以外は日本語での記述は極力しない。