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3月 01 2014

MICEブランディングに関する初級講座

企業活動において、顧客を増やすためには、自らの強みを伸ばし、弱みを克服し、チャンスを活かし、脅威を取り除いたりうまく利用したりすることは、基本中の基本です。また、活動を取り巻く環境をきちんと理解した上で、どのようなアクションをとるかよく考える必要があります。例えば、ある商品に関してそれが業界初であったり、サービスに関して全く新しい形としてリリースする場合には、市場に受け入れてもらえるように「なじみのある姿」として見せる必要があります。例えば、新しい食べ物を発明したとします。食べてみるととてもおいしいのですが、これまでにないビジュアルである場合、多くの人はそれまでに見たことがある類似したものから想像して行きます。夕食用の食材で、味は魚介類のエキスを含んだ病み付きになるものですが、ビジュアルがドッグフードやシリアルのようなものだとどうでしょうか?普通に売っていてはすぐに市場から姿を消すことは簡単に予想できます。そこで、ゴボウ天やミートボールのような形に成形すれば、多少は売れるようになるでしょう。このように、多くの人は見た目や持っている情報で意思決定を行う場合が多いのですが、MICEの場合も同様です。一方、すでに多くの企業が同様の商品を販売する場合はどうでしょうか?その場合、市場においてより優れていることをアピールする必要があります。地域によっては、補助金を充実させたり、あるいは地域の観光資源をMICE向けにアレンジしたりすることによって多くの国際会議やインセンティブツアーを誘致しようと試みています。このように、主催者の意思決定において、最初の印象で決定を行うという特徴と、他より優れていることを感じる特徴、この2つの特徴をもつことが主催者の心を動かす重要な鍵と言えます。下の写真は、全日空とデルタ航空により発表されたマイレージの加算に関する改定発表のウェブページの一部分です。昨今、航空会社のマイレージはかなりインフレ気味になっており、いわゆる改悪と呼ばれる改定が多いのですが、人によっては良い改定であったり、あるいはあまり関心のなかった層にとっては、良い改定であると感じさせることもできるわけです。

 

 

ana delta

 

 

MICEに関して、最初の印象で決定を行うという特徴に関しては、国際会議を誘致したり、インセンティブツアーを誘致したりする場合も、例えば地方都市が不利なのは、主催者側が想像する地方都市のインフラの不整備やアクセス性ばかりが頭に浮かび、その地域の本質を理解せずに、視察でさえ候補地として上がりません。これらを克服するための政策が重要ですが、その一つがいわゆるブランディングです。

ブランディングには、いくつかのやり方がありますが、最も簡単な方法の一つを考えてみましょう。

 

手順1:地域がどこに位置し、どのような特徴があるか挙げる

手順2:地域の良さをできるかぎり多く挙げて見る

手順3:手順2の地域の良さを客観的に分析し、独りよがりになっていないか考える

手順4:手順3での分析を、「良い」「無名」「その他」3つのグループに分類する。

手順5:地域の不利な部分をできるかぎり多く挙げて見る

手順6:手順5で挙げた地域の不利な部分について、ポジティブに表現できるものはポジティブに表現する

手順7:手順1、手順4、手順6を一つにまとめて記述し、関連がある内容については統合する

手順8:手順7でまとめたものからキャッチフレーズをできるだけ多く挙げる

手順9:自らが考える望ましい姿と、手順8で挙げたキャッチフレーズのギャップがあれば、どのように克服するか考える。この際に、例えば新しいホテルを建設するなどの克服不可能な方法は考えないようにする。

 

以上により、冒頭で述べた「最初の印象」をより良く見せて、「他より優れている」状態にする方法が具体的になりました。これをベースとして、広告やウェブページなど、顧客に見えるものをつくって行くとともに、多少の時間はかかりますが実際の事例をいくつかつくって行き、関連をもたせることでブランディングが強化されます。

具体的な詳細に関しては、各種講演などでご説明します。ここでは簡単な例を挙げながら説明しましょう。あくまでも一例ですので、複数の地域を挙げています。実際上は、すべて一つの地域で考える必要があります。あしからずご了解ください。

 

手順1:「長崎」を例に考えると、地理的にはアジアに近い。文化的には、ヨーロッパや中国と関係がある。

手順2:「山形」を考えると、山形牛、りんご、山寺、温泉など。実際はもっと多数を挙げる。

手順3:例えば、手順2の「りんご」に関して他の県も持っているし、「山寺」に関しては地域になじみのある人以外は知らない。

手順4:例えば、手順3から分類するなら、無名:山寺、など。手順3のことに関して、すべて分類する。

手順5:例えば、商業施設が少ない、などを挙げる

手順6:商業施設が少ないということをポジティブに表現するなら、日本ののどかさを体験できる、など

手順7:省略

手順8:例えば、長崎なら、古来から世界にもっとも近い都市。山形なら、自然と日本文化と食を一度で体験。もっと熟考して外国人がうきうきするようなものをつくった方がよい。

手順9:外国人が来たときに、どのように地域を体験すればよいか分からないような時には、地域で留学経験のある人や英文科などを卒業した人を中心としたボランティアを構成する。空港からアクセスが問題になった場合は、アトラクション助成金をバスチャーターでも使えるように制度を変える、など。

 

以上により、「最初の印象」を改善できます。また、「他の地域より優れた面」を作り出すとともに、主催者などに説明できるようになります。それをふまえた上で、いくつかの事例をがんばってつくり、会議風景などの写真素材を増やします。そして、それらの素材とキャッチフレーズと地域の実情を併せて考えて、地域のMICE商品(いわゆるツアーなどの旅行商品のようなもの)をつくります。そうすることによって、様々な形態の国際会議やMICE活動に対応できるようになります。改善された最初の印象で、視察に来てもらえる数も多くなり、会議やイベントの性質ごとに視察プランを使い分けて、さらに説明も具体性が増します。当然、強みと弱みがありますので、ある地域がやっているように、200名以下の理工系、人文社会系の国際会議しか眼中にないというように方針を決めれば、さらに効果は強くなります。