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2月 15 2014

MICE実務者向け事例集(1)

今回から定期的に、MICE実務者向け、特に「C (Convention)」と「E (Exhibition)」事例集について取り上げます。コンベンションビューローが提供するサービスは多様であり、無料または安価であることが多いわけですが、一方で主催者からはPCO並みまたはそれ以上の様々なリクエストを受けることが多いのも事実です。また、悲しいことに実力レベルの低いPCOを支えなければならないことも少なくはありません。実情として、コンベンションになじみのない主催者はコンベンションビューローを単なる一営利企業と思っていることも多いです。また、本来主催者がすべき業務をビューロー担当者が行うように求めたり、さらにはエスカレートしていき、様々な無理な業務、ビューローのサービス外の業務を押し付けることもしばしばあるようです。今回は、特にそのような状況における様々な問題をどのように解決すれば良いか、解決策や対処法について考えてみたいと思います。

 

1.主催者が歓迎看板をビューローの支援外である会場近くの道路において欲しいと要望しています。どのように対処しますか?

コンベンションビューローによっては過去にこのような支援の経験があり、ある種の簡単な手続き方法がある場合はコンベンションビューローが主導して支援することは出来ると思います。しかし、原則的には、主催者がやるべきことです。実際に道路使用上の責任は主催者が負うべきであって、各種利用計画、申請は主催者が行うべきです。通常、道路上にのぼり旗をおくことは法律で禁止されており、県道、市町村道などでは掲示の仕方が制限されていることもあります。通常は県道や市町村道に掲示する場合は、通行の邪魔にならず、強風などでも倒れないよう掲示するなど、県や市町村の裁量に基づき指示されることが多いようです。のぼり旗や看板などの掲示は、許可ではなく、届けという形になることも多いようです。主催者に対しては、手続き方法、道路使用上の注意などを指示したり、県や市の担当者を紹介する程度の支援を行うことが望ましいとおもいます。

 

2.主催者がビューローをタダで使えるPCOと勘違いしています。どう説明すれば簡単に解決できると思いますか?

コンベンションビューロー担当者がコンベンション主催者を訪問する際に、もし主催者がこのような訪問がはじめての場合、主催者は単なる電気屋や文具屋などの営業と勘違いしてしまうケースは多いです。また、PCOや旅行会社と思われることも多く、門前払いをされたことがあるという声も多いです。主催者に話を聞いてもらえて、会議開催が決まったとしても、主催者はビューローをタダで使えるPCOのようなものであると勘違いすることも多く、ビューローのサービス外の業務を求めることもしばしばあります。例えば、会議開催用の機材や飲食物の調達を頼んだり、バンケット時の片付けを頼んだりなどがあります。ビューロー担当者としては誘致してきた会議を主催者の様々なリクエストに最大限応える気持ちになるのは当然ですが、初期の段階で「主催者がすべき業務」、「コンベンションビューローが支援する業務の範囲」、「PCOを活用する場合、PCOの支援範囲」など、コンベンション業務について大まかにも主催者に理解をしてもらうことが望ましいと思われます。また、コンベンションビューローが営利企業ではなく、非営利的な立場であり、PCOとどのように異なるのかについての理解も必要です。もし、限度を超えるリクエストがある場合、PCOを紹介でき、費用は大体いくらかを伝えることが重要であると考えられます。

 

3.国際会議経験のない主催者がいます。会議予算が200万円しかないと言っていますが、どのようにアドバイスしますか?

国際会議主催者が最も頭を悩まさせることの一つが会議予算の計画と支出に関してです。コンベンションにおいては、参加者によって参加費をころころとかえる訳にはいかず、また、過去の参加費がそのまま設定されることが多いです。従って、予算が多い、または少ない点に関しては周りが理解してあげることが求められます。例えば、学会のポリシーによっては、一般参加者は100ドル、学生参加者は50ドルにも関わらず、その参加費収入の範囲内で会議場借上や機材レンタル、レセプションやコーヒーブレイク、各種印刷物の発行などを含める必要があるなど、主催者にとっては頭を抱える問題があります。もし、予算が不足した場合、主催者が自費で補ったり、あるいは寄付金の受け入れに奔走することになることが多くなります。一方で、また学会によっては、予算計画のガイドラインで、バンケットの上限金額、コーヒーブレイクの上限金額を設定していることもあり、その場合、状況によっては主催者がケータリング業者との交渉が必要となる状況もあります。このような主催者の悩みを解消するために、コンベンションビューロー担当者が予算計画を支援できると望ましいと思います。例えば、どの部分を削ることができるのか、あるいはどの程度の費用がかかるのかなどを理解しておくことで、主催者が本来の主催業務に専念できるようになります。下記は、いくつかのモデルケースです。

 

予算210万円(参加費10,000円×参加者200名、寄付金10万円)

項目

金額

内訳

会議施設使用料

495,000

全体会180,000円×1室×2日

分科会15,000円×3室×3日

設備等レンタル費

115,000

プロジェクタ(大) 25,000円×1台×2日

プロジェクタ(小) 5,000円×3台×3日

マイクロフォンなど一式 20,000円

レセプション費

400,000

単価 2,500円×160名
印刷費

364,000

フライヤー 単価6円×2000枚

会議プログラム 単価400円×220冊

論文集(CD-ROM) 単価1,200円×220冊

コーヒーブレイク費

240,000

単価300円×160名×会期中5回
会議費

120,000

打合せ費 20,000円×3回

ボランティア打ち上げ 5,000円×12名

人件費

300,000

ボランティア 1,000円×25時間×12名
合計

2,024,000

 

※レセプションの人数について、参加者全員が参加できないことのほうが多いため、人数は多少割り引いている。また、印刷物を多めに発注するのは、寄付者や協力者への配布用として必要であるからである。会議施設は地域で最も安い公共施設、レセプションは立食でワインとスナック類、コーヒーブレイクはペットボトル飲料と簡単なリフレッシュメントを想定。

 

予算910万円(一般参加費50,000円×120名、学生参加費35,000円×80名、寄付金30万円)

項目

金額

内訳

会議施設使用料

2,440,000

全体会500,000円×1室×2日

分科会120,000円×4室×3日

設備等レンタル費

352,000

プロジェクタ(大) 140,000円×1台×2日

プロジェクタ(小) 6,000円×4台×3日

レセプション費

1,360,000

単価 8,500円×160名
バンケット費

1,760,000

単価 11,000円×160名
印刷費

1,684,000

フライヤー 単価6円×2000枚

会議プログラム 単価600円×220冊

論文集 単価7,000円×220冊

コーヒーブレイク費

640,000

単価800円×160名×会期中5回
通信運搬費

50,000

機材運搬費 50,000円
広報費

150,000

Web作成、管理費 一式150,000円
会議費

120,000

打合せ費 20,000円×3回

ボランティア打ち上げ 5,000円×12名

人件費

440,000

基調講演者謝金 50,000円×4名

ボランティア 1,000円×20時間×12名

合計

8,996,000

 

※レセプションの人数について、参加者全員が参加できないことのほうが多いため、人数は多少割り引いている。また、印刷物を多めに発注するのは、寄付者や協力者への配布用として必要であるからである。会議施設は一般的なホテル、レセプションは着席でワインとオードブル類および軽食、バンケットは着席で一般的なコース、論文集は有名な出版社より出版、コーヒーブレイクはコーヒー等のケータリングを想定。

 

以上のような感じで、ある種の勘が必要とされる部分はありますが、予算と参加者規模、および日数によってどのくらいの予算規模であれば何が出来るのかが決まって来ます。予算が多ければ多いほど何も考えることはなくなります。一方で予算が少ない場合は、色々な課題が出てきますので、考えに考えて計画を立てる必要が出てきます。支出には固定費とそうではないものがあり、例えば、印刷費などに関して手間はかかりますが指値で交渉したり、あるいは機材等を持ち込み、また、出来る限り持込みで実施することでよりコストカットが可能になります。一方で、複数の会議を合同で開催し、参加者規模が大きくなれば、印刷物やバンケットなどボリュームによりディスカウントがききますので、これもコストカットにつながります。