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1月 01 2014

コンベンション誘致成功へのヒント

あけましておめでとうございます。本年もどうぞ昨年と変わらぬ皆様のご支援、ご協力をよろしくお願いします。2013年の訪日外国人旅行者数は、2013年12月10日に史上初の1000万人を超えました。経済波及効果において大きく寄与するコンベンションの開催件数の増加も実現し、我が国のMICE政策はさらなる一歩がのぞまれるところだと思います。

 

さて、今回はコンベンション誘致の実務担当者向けにコンベンション誘致の鍵を握る主催者の視察に関するトピックについて説明したいと思います。ロビー活動や海外の学会との調整、Meet Japanなどの視察プログラム関連についてはまた他の機会に取り上げることとし、もう少し、基本的な部分に触れたいと思います。国際ミーティングエキスポ(IME: International Meeting Expo)などにおいて、多くの自治体やビューローが一件でも多くコンベンションを誘致する努力をしております。展示ブースの工夫や、地域の観光親善大使などとともに熱心な誘致への努力をしており、さらなる飛躍が期待できるところです。MICE誘致への取り組みを新たに始められたところも見られ、今後が楽しみです。今回の記事は、特にMICE誘致に不慣れな地域の担当者の方々にとって役に立つと思います。また、これまでに誘致を成功された方々にも、さらに視察プログラムの品質向上のために一読していただければと思います。

 

新たにMICEに取り組んでいるビューローの悩みを解決

まずは、IMEなどへの出展を新たに始められた地域は、どのようにプロモーションをすれば、より勝率が上がるか?を目的として説明します。基本的なことですが、次のことに気をつければと思います。

(1)MICEと観光は全く別ものであるという認識を持つ:当然ながらMICE活動においては、観光に関する側面が少なからず含まれています。というより、むしろ観光の魅力で誘致が成功する例も多いでしょう。しかし、コンベンション・展示会での訪問者は、飽くまでもビジネスが目的です。また、インセンティブツアーに関しても、観光だけが目的の例は少ないでしょう。従って、主催者にはコンベンションや展示会に関わる説明をきちんとすることが重要です。展示ブースで単に、「〜(場所)でのコンベンションはいかがですか」、と説明しても素通りする主催者が多いでしょう。まず、集客の決め台詞をきちんと決めておいて、それを理路整然と説明できる説明内容をまとめておくべきです。例えば、集客の決め台詞とは、「感動するコンベンション日本一の〜(場所)、主催者への支援も特色があります」、といわれれば素通りした主催者のうち立ち止まってくれる人もいると思います。当然、そのようなユニークベニューや後述するような支援をつくっておくと良いでしょう。

(2)説明のポイントを絞る&観光案内を中心においてはならない:コンベンションでの訪問者は観光が目的ではありません。時々、観光のことしかブースで説明されない地域もありますが、多くの主催者は学会や国際会議での開催にふさわしいかどうか、ハード面およびソフト面を聞きにきているわけですので、コンベンションを中心とした説明をすべきです。ただし、説明の工夫の内容は様々あって良いと思います。例えば、話の流れとして、観光について1割話した後、コンベンションについて3割、バンケットやケータリングについて2割、エクスカーションについて1割、再度コンベンションについて2割、再度観光について1割という流れだと、コンベンションの面でも、ソーシャルファンクションの面でも、観光の面でも印象が残りやすく、より良い印象を与えるでしょう。料理の話を例に挙げれば、同じ食材でも調理の腕の仕方によって大きく味が変わります。それと同様に、説明の工夫の仕方によって、同じ内容でも大きく印象が変わってきます。

(3)支援内容について差別化をはかる:例えば、会議バッグの無償または安価提供がある、あるいは歓迎看板を準備するなどのことを説明される地域がありますが、ほとんどの地域で同様の支援が実施されているため、食傷気味に感じる主催者は多いと思います。重要なことは、他地域とはどのような点で異なり、自分の地域はMICEに関してどのように優れているかをPRすることが重要です。例えば、支援プログラムの郷土アトラクションについて、単にそれが提供されるというのではなく、「このアトラクションは、参加型アトラクションで外国の方々を中心に、興味深い日本文化のエッセンスを短時間で体験できます。そして、アトラクションでは、アトラクションで登場する芸人と一緒に記念撮影のサービスがあり、撮影した写真は、会議開催後に会議参加者のみが閲覧できる会員ページにアップされます。また、家族再訪プログラムもあり、会議参加者のうち、家族などをつれて2年以内に再訪された参加者には、申し込みがあれば参加者が映っている写真をラベルとしたオリジナルの地酒を進呈します。アトラクションの提供はどの地域でも提供していると思いますが、写真撮影プログラムや再訪歓迎プログラムは私たちの地域のみ実施しており、会議が終わっても直接参加者の心に響く支援が私たちの売りです。」のように、支援プログラムとPR方法を一緒に考えていくべきです。

 

視察において会議主催者の心をつかむ

主催者立場においては、参加者がここに来たときにうれしく思うかということを考えます。また、それに気づかない主催者にはそのように気づいてもらうようにしたほうが良いです。例えば、視察を始めるにあたり、ビューロー事務所での説明においては、まずは担当者だけではなく、トップが熱心であるかどうかを伝えることが重要です。

(1)参加者が到着したような状況で視察主催者をお迎えする:例えば、すでに開催候補の会議名が分かっている場合、会議名のプラカードを持って迎えると、視察する主催者はその気分になることができると思います。また、近年米国を中心に流行っているタブレット端末を使った電子プラカードを使えば、工夫したように見えて主催者からの印象が変わります。また、地元の法被をはおってお出迎えをし、「国際会議開催時には、参加者歓迎においては同じ法被をはおってお出迎えをします」と言うだけでも印象が変わってきます。また、空港や駅でのお迎えの後に、すぐに自動車で視察先、ビューロー事務所に行ってはいけません。まずは、主催者をお出迎えした後に、空港や駅におけるインフォメーションデスクや市街(会議場)までのアクセスに使う鉄道やバスの利便性を示します。また、案内表示が英語で示されていることもきちんと認識させます。特に、アクセスに自信のない地域は、それをしっかり示すことで、ハンディキャップを多少解消できます。コンベンションを誘致しようと考えている地域でしたら、国際会議の際に空港や駅に追加で多くの案内を開催側がおかなければならないような状況は論外で、そのような地域があれば解決すべきでしょう。

(2)会議場の視察:会議場の候補が複数あり、それを短時間で視察する場合も多いと思います。視察はあくまでもその会議場で会議が問題なく実施できるかをチェックするものですので、アパート物件を矢継ぎ早に見学するのとは違います。時間をかけるところはかけて、かけないところはかけないで、メリハリの効いた見学案内が重要です。そのためには何をすれば良いでしょうか?答えは簡単です。主催者が開催しようとしている会議の規模、性質、外国人参加率、会議での各種イベントを知っておけば良いのです。しばしば、ベルトコンベアに乗せるがごとく、決まりきった施設の案内を経験することがあります。つまり、ある種のマニュアルがあるのか、あるいは単に施設見学案内担当者の能力が低いのかのどちらかでしょうけど、そのような見学は主催者にとって見学の意味が薄れます。具体的によく見られる状況を説明します。施設を一通り案内する際において、ある会議室を見学案内されているとします。そのときに、「ここは60人程度の分科会で利用されます」と言って、時間をかけてその分科会場を見せられたとします。もし、視察している主催者の会議の参加者規模が300名で、会議は2パラレルセッションで開催される場合、この分科会場視察は何の意味があるのでしょうか?主催者が開催しようとする国際会議の内容を良く知り、時間をかけてみせるところは見せる、さっと紹介程度にするところは短時間で見せるなど、メリハリをつけた見学が重要です。

(3)地域の食について:学会や国際会議においては、多くの参加者が開催地を訪問し、滞在する訳ですので、当然ながら数回の食事をするわけです。3日間の会期の会議の場合、3泊4日の滞在をする参加者は、朝食と夕食を3回、昼食を3〜5回とります。とくに日本で開催される国際会議の場合、外国人参加者の食に対する期待は大きいようです。その期待に応えるべく、いくらかの主催者は視察を行っている間に、バンケットやレセプションで提供するにふさわしい地域の食を考えています。視察の際の昼食や夕食について、もちろんながら地域の良さを示すとともに、それらの美食がどのようにバンケットで提供できるのかなどを説明することにより、主催者は会議のソーシャルファンクションのイメージも明確にすることができます。

(4)地域の文化について:地域の文化は、多くの参加者にとって関心のある事柄であり、それをより良く伝えることが重要です。地域の文化を伝える方法は様々ですが、会議参加者にとって最も身近なものは会議のエクスカーションや観光であるといえます。参加者が体験しうる主要な文化について主催者の視察においても説明することは、参加者が地域をいかに楽しんでくれるかということと関連しています。押しつけではなく、自然体での伝達が重要です。視察時においては、バンケット会場との組み合わせとしてそれらを紹介するのはもちろんのこと、参加者が体験するであろうエクスカーションや観光について、体験型として伝えることが望ましいです。例えば、織物体験や焼物体験などはそれにあたります。国際会議においては、しばしば参加者にお土産を贈呈することがありますが、それを体験型の活動で置き換えても良いと思います。例えば、初日のレセプション開催の前に体験型の活動を実施し、翌日の正午以降に受付デスクにおいて、体験型活動で制作したものを受け取るなどの方法で実施も可能です。そのように、参加者を感動させるためのしくみをいかに発見して、実現できる方法を見いだすかが重要な鍵となります。また、そのような材料をどれだけ多く準備するかも、PRできる強みとなり、視察プログラムにおいてより主催者を引きつける要素になり得ます。

 

今回は、展示会などでのMICEを中心とした来場者をいかに引きつけるか、いかに足を止めてもらい説明を聞いてもらえるかについて説明しました。また、主催者を地域に招請し、地域のMICE資源を見学してもらう視察プログラムについてのテクニックのいくつかを紹介しました。当然ながら、全てに適用可能という訳ではなく、地域や季節などによって多少は変わる部分もあると思いますが、標準的な目安にしてもらい、実践に役立てていただければと思います。さらに、アレンジを加えて、その地域が持つ強みをより引き立たせる工夫があれば、より視察プログラムに参加している主催者にとっては、そこで国際会議を開催しようと思う強力な動機になるでしょう。